アンティークレースのリメイク前に
これは、何度もリメイクしようとしたけど、やっぱり出来なくて・・・長い間、私のマテリアル用のタンスの中でずっと眠っていたアンティークレースのスカートです。
このまま誰かに着てもらうのが良いのかな。いいえ、もっと素敵になるはず。なんて、何度目かの1人会議をした結果ようやくハサミを入れる時が来ました。
どうしてそんなにハサミを入れるのを躊躇っていたのか、それは中央部分のサークル模様、裾の葉っぱ模様、小さな穴があいたテープ状の部分も全部、手刺繍が施されているからです。「えーー!」って思いませんか。
アンティークレースの手刺繍
こちらは中央部分に2列に並んだサークル模様。拡大してみると、ほんのちょっと糸目がいびつになってる所があって・・・手作り感が漂っています。
ベルト下部分。縦長のホールが開けられているのは、元々ここにリボンを通していたのだと思います。
拡大写真ではリネンのように見えますが、素材は極薄のエアリーで柔らかな綿ローン。元々は1800年代後半〜1900年初頭にフランスで生産されたもので、ベルトの素材を見る限りその後誰かにスカートにリメイクされたようです。
この時代、裕福なお家では女の子が生まれると、お嫁入りする時の為に手の込んだ下着〜お洋服に至るまでをレース職人達の手によって作られたと言います。
今も残っているアンティーク古着の中で白のレースのお洋服が多いのは、婚礼用のドレス、中に着るアンダーワンピース、ペティコートなどの下着、ナイティ、このような裕福なお家のお嬢様達の為にたくさんの衣装を手間をかけて職人達の手によって作られたからです。
はしごレース風の手刺繍
はしごレースとは、左右に余白のある《はしご状柄》のもので、ブラウスやワンピース、スカート、雑貨など、切り替え部分に使われる事が多いレース。下の写真は現行品。
このスカートのはしごレース状に見える部分は見生地の糸を抜いて、3ミリ幅の穴をあけてから穴の周りを刺繍しています。
貴族の間で腕の良いレース職人は取り合いだったそうです。目を酷使する為、早くに視力を失う者やコピー品が出ないように生涯屋敷に閉じ込められた。などレースの歴史本で読んだ限りですが、胸がキューっとなるような話をいくつも知りました。
なので手仕事が施されたアンティークレースのリメイク前は、いつもちょっと特別な気持ちになります。
少しも無駄にしないように、大事に大事にしないとね。次回リメイク編に続きます。
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